生活者見立て通信

生活者見立て通信#005「個性ある自分の演出にくたびれる「セルフブランディングプレッシャー」との新しい付き合い方」

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生活者見立て通信は、主にマーケティングの戦略立案に関わる方々を対象に、世の中の流行や最新トレンドに関する複数の事例から背景にある太い潮流やインサイト、見立てについて独自の視点でまとめた定期レポートです。

今回の生活者見立て通信では、以下の生活者動向に焦点をあてました。

生活者動向① 精神的・肉体的・社会的に満たされた“自分であるべき”という、「自己実現プレッシャー」の重圧

  • 学校でキャリア教育を受けてきた現在の若者は、常に「あなたのやりたいことは何か」と問われ続け、自分らしいキャリアを築くことを求められている。新卒入社後3年以内に3割が離職*するなど、自分らしいキャリアを追い求め、転職を繰り返す若者が増えている。
    (出典:株式会社ウェッジ・Wedge ONLINE、2017年「「自己実現すべき」という強迫観念のもと転職を繰り返す若者たち」)
    (*厚生労働省、2024年「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します」)

  • 心理学博士の榎本博明氏はダイヤモンド・オンラインの記事で下記のように述べている。
    「自己実現という言葉が広まり、「みんなが活躍する社会」「だれもが輝く社会」などというキャッチフレーズもよく耳にするようになりました。しかし、それによってみんなが生き生きしてきたかというとそういうこともなく、むしろ生きづらさに苦しむ人が増えているように思うのです。」
    (出典:株式会社ダイヤモンド社・DIAMOND online、2021年「「自己実現」「活躍」「輝く」が社会の活気を奪う」)

生活者動向② “自分らしい多様な力”が重視・評価される風潮

  • 大学入試では、詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価・判定する入試方法「総合型選抜(AO入試)」が導入されている。
    (出典:文部科学省、2021年「大学入学者選抜関連基礎資料集」P11)

  • 大学(国立・公立・私立含む)入学者数に対する総合型選抜の入学者の割合が、2021年は12.7%、2022年は13.5%、2023年は14.8%と年々増加している。
    (出典:文部科学省、2023年「令和5年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」)

生活者動向③ 一方で、“自分らしさの出し方”に悩む生活者が増加

  • 株式会社シンシアがZ世代を対象にした意識調査によると、「私らしさ」とは何かを答えられない人が48.6%と約半数にのぼる。
    (出典:株式会社シンシア、2022年「FAIRY|Z世代800人に『私らしさ』に関する意識調査を実施」)

  • こども家庭庁の調査によると、「自分らしさを強調するより、他人と同じことをしていると安心だ」にあてはまる(TOP2:あてはまる/どちらかといえば、あてはまる計)と回答した15-19歳は58.8%と6割近くにのぼる。
    (出典:こども家庭庁、2022年「こども・若者の意識と生活に関する調査」表番号21)


今回執筆したQOプランナーの寺西氏、秋山氏、松林氏は、この生活者動向の裏側にあるインサイト、見立てについて以下のようにコメントしました。

QOプランナーの見立て
「入試や就職など多様な場面で個性が求められる昨今、そもそも自分の個性がわからなかったり、個性を出すことで周りから浮くのは嫌だったりと、悩んでいる方が増えているようです。そんな中で求められているのは、無理をしたり自分を偽ったりせずに、ちょうどいい“らしさ”を体現できることではないでしょうか。」


このほか生活者見立て通信では、今回着目した社会動向に関する様々な事例や見立てとともに、日々のマーケティングに活用するための「攻略のツボ」もQOプランナーがご提案しています。

Written by 寺西 成美
QO株式会社 マーケティングプランナー| WEBを中心としたリサーチ業務に携わった後、2017年に現職のQOに入社。 定量調査を主軸に、日用品、アパレル、官公庁など、幅広い業界やクライアントのマーケティングリサーチ業務に従事。 広告効果測定、市場実態の把握、インサイト抽出といった調査テーマに基づき、リサーチプランニングや分析を行う。 さらに、体系化されたマーケティング論理と、QO内で蓄積されてきたリサーチの暗黙知を基に、リサーチ手法の規格化や新たなリサーチソリューションの開発に取り組む。
Written by 秋山 月子
QO株式会社 マーケティングプランナー| 2018年よりマクロミルのリサーチャーとして調査業務に携わったのち、2019年よりHMM(現QO)へ出向。 博報堂常駐リサーチャーとしてトイレタリー・化粧品・アパレル・食品業界を中心とする調査業務に従事したのち、2022年よりマーケティングプランナーとして博報堂ストラテジックプラニング局に出向。 トイレタリー・化粧品業界のクライアント様のマーケティングコミュニケーション・商品開発の領域を中心に、戦略立案・戦術立案・アイデア開発などのプランニング業務に携わる。
Written by 松林 紘将
QO株式会社 マーケティングプランナー| 2016年にQO株式会社(旧東京サーベイリサーチ)に入社。以降一貫してリサーチャー業務を担当。 外食業界を中心に流通小売、食品、教育、文具、地方自治体といった業界・クライアント対応の経験を積む。 各種の定量/定性調査手法、解析手法の経験をベースに、市場把握から上市後の評価検証等まで、マーケティングプロセス上の幅広い課題に対して、企画設計から分析・ネクストステップの提案まで一気通貫で対応する。