生活者見立て通信

生活者見立て通信#014「備えるより、馴れろ?リスクを飼い馴らす“無毒化”スキル」

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生活者見立て通信は、主にマーケティングの戦略立案に関わる方々を対象に、世の中の流行や最新トレンドに関する複数の事例から背景にある太い潮流やインサイト、見立てについて独自の視点でまとめた定期レポートです。

■ 着目した生活者動向

①災害・感染症・地政学不安・経済不安が複合的に押し寄せる現代

昨今、令和6年能登半島地震*¹、令和6年台風第10号*²、トカラ列島群発地震*³など、甚大な被害をもたらす災害が多発しています。また、物価高やトランプ政権による関税問題、参議院選挙での自民党の歴史的敗北など、政治・経済両面においても依然として不安定な状況が続いています*⁴。

②心身の健康や今の楽しさを犠牲にしない生き方への志向

ユーロモニターの調査によると、世界的なレベルで物価高と経済の不確実性が続くなか、消費者は慎重な消費行動で家計の管理に努める一方、若々しさを保ちながら健やかに長生きすることを意味する「ロンジェビティ(Longevity:長寿)」へのニーズが高まっていることが明らかになりました。同時に、ロンジェビティ実現のため、自分を取り巻く環境の豊かさを整えることの重要性も注目を集めています*⁵。

■ QOプランナーの見立て:備えるより、馴れろ?リスクを飼い馴らす“無毒化”スキル

QOプランナーは、これらの生活者動向を踏まえ、裏側にあるインサイトを読み取り、下記のように見立てています。

これは、災害や感染症、物価高騰、戦争など、避けられない不安が続く中、それを排除するのではなく、受け入れながら生活に馴染ませていくことが生活者の間で選ばれ始めているという見立てです。
“食べない備蓄食から、おいしく食べる長期保存食へ”をコンセプトにした「IZAMESHI」が、災害時の非常食としてのみではなく日常生活のさまざまな場面で活躍したり*⁶、生活空間において未病維持に繋げるための未来の住宅「ウエルネス・スマートハウス」が大阪万博で展示されたり*⁷と、備えやリスクを日常の暮らしに取り込む商品やサービスの台頭もみられます。


今回の見立てについて、QOが実施した検証調査*⁸では、全体の共感度は44.2%に留まりましたが、X世代女性では「時代に合っている」の評価が60.9%と比較的高い結果となりました。自由回答からは、想定外のリスクに直面する機会が増えたと実感する一方で、その対応の難しさを感じている様子がうかがえます。

■ QOプランナーのコメント

今回担当した秋山氏、松﨑氏、麻生氏は、今回の生活者動向や裏側のインサイト、見立てについて以下のようにコメントしました。

「将来の不確実性が高まる昨今、日頃の生活の中で悩みや不安を抱える生活者が増加しています。そんな現代において、貯蓄や投資など将来に備える一方、毎日の生活を充実させて楽しみたいという価値観の高まりや、健康で楽しく長生きすることへの関心度の向上がみられます。生活者は、もはや「変わらない安心はない」という前提のもと、リスクや不安をゼロにすることではなく、少しずつ自分の生活に取り込みながら自分のリズムで慣れることを選択しているのではないでしょうか。
これからの強さは、「リスクに備えるスキル」ではなく、「リスクを飼い馴らす“無毒化”スキル」にあると考えられます。」


*1 出典:石川県「令和6年能登半島地震アーカイブ
*2 出典:東京海上ディーアール株式会社、2024年「令和6年台風第10号の特徴とその被害
*3 出典:TBS・JNN NEWS DIG合同会社、TBS NEWS DIG、2025年「【LIVE】鹿児島県・十島村で震度6弱(2025年7月3日)| TBS NEWS DIG
*4 出典:リンクタイズ株式会社、Forbes JAPAN、2025年「物価高で日本の政治が危機的状況に 日銀はトランプ関税や弱い景気で身動きできず
    英国放送協会、BBC NEWS JAPAN、2025年「参院選で自公が過半数割れ、衆参両院で少数与党に 石破首相は続投表明
*5 出典:株式会社アイスタイル、@cosme | for BUSINESS、2025年「ロンジェビティ(長寿)志向はより強い潮流に。2025年グローバル消費者トレンド
    Euromonitor International Limited, 2024, “Euromonitor International reveals top global consumer trends for 2025
*6 出典:株式会社PR TIMES、ストプレ!、2025年「長期保存食「IZAMESHI」に開封後すぐに食べられる「そのままPASTA」8種が初登場
*7 出典:株式会社studio D plus、2025年「大阪万博が描く未来の住宅 テクノロジーが切り拓く新しい暮らしの形
*8 検証調査概要
調査対象者:全国の15-69歳 ※中学生以下は除く
回答者数 :1,236人
割付方法 :性年代別に均等回収
調査方法 :インターネットリサーチ
調査期間 :2025年10月15日(水)~16日(木)
調査企画 :QO株式会社
調査委託先:株式会社マクロミル
Written by 秋山 月子
QO株式会社 マーケティングプランナー| 2018年よりマクロミルのリサーチャーとして調査業務に携わったのち、2019年よりHMM(現QO)へ出向。 博報堂常駐リサーチャーとしてトイレタリー・化粧品・アパレル・食品業界を中心とする調査業務に従事したのち、2022年よりマーケティングプランナーとして博報堂ストラテジックプラニング局に出向。 トイレタリー・化粧品業界のクライアント様のマーケティングコミュニケーション・商品開発の領域を中心に、戦略立案・戦術立案・アイデア開発などのプランニング業務に携わる。
Written by 松﨑 さくら
QO株式会社 マーケティングプランナー| 2018年にQO株式会社(旧東京サーベイリサーチ)に入社。 入社後から現在まで広告代理店の担当として、化粧品/食品/飲料/サービス/通信など定量・定性問わず幅広い業界の案件に従事。 2022年頃からは、化粧品/ファッション関連を中心に得意先課題のヒアリング~ネクストアクションのご提案までを一貫して対応。2024年以降はオンライン常駐も開始。
Written by 麻生 美与
QO株式会社 アカウントマネージャー| 2007年にネットリサーチ業界へ。マーケティングリサーチ領域の経験は15年以上。 大手広告代理店を中心に、アウトバウンド営業を経て、取引先への常駐を経験。 2024年7月からアカウントマネージャーとして、リサーチ領域を広げ、クライアントの課題に向き合った業務デザインの設計に取り組んでいる。