生活者見立て通信は、主にマーケティングの戦略立案に関わる方々を対象に、世の中の流行や最新トレンドに関する複数の事例から背景にある太い潮流やインサイト、見立てについて独自の視点でまとめた定期レポートです。
■着目した生活者動向
①推し活をはじめとした“特別な関係づくり”のニーズが拡大
日本のオタク市場は、コロナ禍で一時縮小したものの、その後は再び拡大基調に転じ、2023年には8,000億円超の規模が見込まれていました。また、3人に1人が「推しがいる」と回答するなど、ブランドや対象との特別な関係性を求める層が増えています*¹。
②万人向けの型化体験よりも、「自分だけの体験」への嗜好が強まる
コロナ禍に広がったホテルのセルフホスピタリティは、コロナ後も利用者から支持され拡大が続いています*²。2024年9月には、ホテル側の都合に縛られない自由度の高い滞在価値を提供する新コンセプトホテル「seven x seven」が石垣島にオープンし、“自分らしい体験設計”への志向がより顕在化しました*³。
■QOプランナーの見立て:心を動かすスイッチは、好きな人からの挑戦状
QOプランナーは、これらの生活者動向を踏まえ、裏側にあるインサイトを読み取り、下記のように見立てています。
これは、欲しいものがクリックひとつで手に入る現代においては、従順で便利な存在よりも、むしろ少し手のかかる存在の方が、単なる消費を超えて“愛着”へと関係が深化するという見立てです。 実際に、人気モデルを正規店で定価購入するため何度も複数店舗を巡る「ロレックスマラソン」*⁴や、クイズの正答率上位者のみが購入できる「NIKE SNKRS 5th Anniversary」*⁵など、“挑戦状”のような体験設計が話題となりました。 今回の見立てについて、QOが実施した検証調査*⁶では、特にZ世代からの評価が高く、共感度は62.1%でした。「時間と費用を投じることによって、手に入れた際や体験し終わった時の喜びや充足感がより大きいものになる」など、自由回答からも共感の声がみられました。


■ QOプランナーのコメント
今回担当した黒川氏、鞠子氏、山本氏、國守氏は、今回の生活者動向や裏側のインサイト、見立てについて以下のようにコメントしました。
「「推し活」や「ファン」といったブランドや対象との特別な関係性を求めるニーズは拡大していますが、その正解は、ブランドや対象からの一律的な寄り添いではないことがうかがえます。モノや情報が溢れ、ECで欲しいものがすぐ手に入る時代において、万人向けのホスピタリティよりも「この体験は自分だけのものだ」と感じられる、“選民意識をくすぐる希少な体験”が求められているのではないでしょうか。これからの生活者との関係構築には、“好きだから応えたくなる”体験設計が重要になると考えられます。」
*2 出典:株式会社リモートロックジャパン、RemoteLOCK、2025年「ホテルのセルフサービス・セルフホスピタリティへの嗜好の高まり」
*3 出典:株式会社 PR TIMES、PR TIMES、2025年「fav hospitality group株式会社|【seven x seven 石垣】 いよいよGrand Debut!セルフホスピタリティ×ラグジュアリーを体験しよう」
*4 出典:株式会社いーふらん、おたからや「ロレックスマラソンとは?購入難易度が高い人気モデルや服装、聞き方のポイントを解説」
*5 出典:株式会社ナイキジャパン、2023年「SNKRS 5th Anniversary Vol.3」
*6 検証調査概要
回答者数 :1,236人
割付方法 :性年代別に均等回収
調査方法 :インターネットリサーチ
調査期間 :2025年12月3日(水)~4日(木)
調査企画 :QO株式会社
調査委託先:株式会社マクロミル