生活者見立て通信は、主にマーケティングの戦略立案に関わる方々を対象に、世の中の流行や最新トレンドに関する複数の事例から背景にある太い潮流やインサイト、見立てについて独自の視点でまとめた定期レポートです。
■着目した生活者動向
①就職活動における「大手志向」と「地元志向」の共存
マイナビの調査によると、学生の間では大手企業志向が再び高まる一方で、地元での就職を希望する割合も依然として高い水準を維持しています。2025年卒の大学生においては、大手企業志向が半数を超えると同時に、6割以上が地元就職を希望している状況が続いています。
この背景には、安定性や福利厚生といった将来への安心を求める意識から大手企業を志向する動きがある一方で、精神的・生活面での安心を重視し、住み慣れた地域で働きたいと考える地元志向も根強く存在していることがうかがえます。*¹
②情報が少ない未知領域には消極的な姿勢
近年、若者の行動全般において、情報が少なく自分にとっての価値が見えにくい選択肢を避ける傾向が強まっています。その一例として、若者の旅行行動を分析したケースでは、海外旅行離れが続いていることが指摘されています。
その背景には、物価高や経済的な不安だけでなく、「情報が少ない」「自分にとって得られるものが想像しにくい」といった理由から、未知の体験に対して慎重になる心理があります。*²*³
■QOプランナーの見立て:変身ではなくレイヤード。壊さずに重ねて少しずつ変わる生活者
QOプランナーは、これらの生活者動向を踏まえ、裏側にあるインサイトを読み取り、下記のように見立てています。

これは、余力の少ない現代社会において、自分を一度に大きく塗り替えるのではなく積み重ねの中で少しずつ静かに変容していくことが、現代の生活者の自己更新のあり方になっているという見立てです。
実際に、進化系クロワッサン*⁴や和菓子×グミの組み合わせ*⁵など、安心できる部分を残しながら、少しずつ新しいものを取り入れた商品が人気を呼んでいます。
今回の見立てについて、QOが実施した検証調査*⁶では、特に10代女性および60代女性からの評価が高く、年代が二極化していることがうかがえました。共感度は10代女性で72.8%、60代女性で66.0%でした。「毎日の積み重ね、経験や選択で今の自分が出来上がっているのだから、『壊さずに重ねて少しずつ変わる』という考えに納得できる」など、自由回答からも共感の声がみられました。


■ QOプランナーのコメント
今回担当した鞠子氏、三上氏、大島氏は、今回の生活者動向や裏側のインサイト、見立てについて以下のようにコメントしました。
「就職活動における「大手志向」「地元志向」の高まりや、昨今の海外旅行離れの動きから、生活者は大きな変身や劇的な飛躍を積極的に望んでいない様子がうかがえます。一方で、進化系クロワッサンや和菓子×グミといった商品が支持を集めているように、クロワッサンやグミなど身近で安心できる要素を土台にしながら、少しずつ新しさを取り入れる体験には前向きです。揺り動かしたい日常と守りたい日常のバランスの中で、生活者は道を踏み外すような挑戦ではなく、安心を重ねながら着実に自己更新していくことを選んでいる——そういったインサイトの表れではないでしょうか。」
*1 出典:株式会社マイナビ、サポネット、2024年「大手企業志向増加の一方で、6割以上の学生が地元就職を希望/2025年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」
*2 出典:株式会社ダイヤモンド社、DIAMOND online、2025年「「ハワイではラーメン1杯5000円」の真相は?日本人の海外旅行離れが、物価高と円安だけじゃない理由」
*3 出典:株式会社ダイヤモンド社、DIAMOND online、2025年「若者の「海外旅行離れ」は本当?データで浮かび上がる二極化と格差の実態」
*4 出典:関西電力株式会社、かんでん WITH YOU、2024年「SNSで話題の「進化系クロワッサン」!8種類を編集部が徹底リサーチします」
*5 出典:株式会社パイロットン、kirei note、2025年「今、グミがあつい!おやつを超えた進化系から新食感まで注目の6選♡」
*6 検証調査概要
調査対象者:全国の15-69歳 ※中学生以下は除く
回答者数 :1,236人
割付方法 :性年代別に均等回収
調査方法 :インターネットリサーチ
調査期間 :2026年1月28日(水)~29日(木)
調査企画 :QO株式会社
調査委託先:株式会社マクロミル