生活者見立て通信は、主にマーケティングの戦略立案に関わる方々を対象に、世の中の流行や最新トレンドに関する複数の事例から背景にある太い潮流やインサイト、見立てについて独自の視点でまとめた定期レポートです。
■着目した生活者動向:ゆるくて自由であるが故の不安の増大
今回の生活者見立て通信は「ゆるブラックな場(職場など)」に着目しました。
例えば職場における「ゆるブラック」とは、残業が少ないなど一見働きやすそうに見えるものの、成長の機会や新しいことに挑戦する場面が限られ、仕事を通じたやりがいや成長を感じにくい職場をネガティブに捉えたときに使われています*¹。
リクルートワークス研究所の調査によると、日々の仕事において「このまま所属する会社の仕事をしていても成長できないと感じる」に対して「そう思う(TOP2)」と回答した人が35.0%、「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる」では48.9%にのぼり*²、自己成長や未来への不安がうかがえます。
また、ツムラが実施した調査では、新社会人1,000人のうち67.4%が「負荷が低すぎてやりがいを感じられない職場は嫌だ」と回答しており、甘やかされる・ゆるすぎる職場は望んでいないことも明らかになりました*³。
■QOプランナーの見立て:自己効力感を取り戻す“プチ”ブラックな選択肢
QOプランナーは、これらの生活者動向を踏まえ、裏側にあるインサイトを読み取り、下記のように見立てています。

これは、過度な厳しさが取り払われた現代において、ぬるま湯のままでは物足りないと感じる生活者が、充実感や達成感を求め、自ら納得できる範囲での“ちょうどいい負荷”を求めているという見立てです。
昨今、短期集中型のスキル習得ブートキャンプなど、あえて負荷の高い環境に身を置くサービスが広がっている*⁴ことや、キャリア支援サービス「SHElikes」が会員20万人を突破した*⁵事例などからも、自ら納得できる環境で挑戦しようとする動きがうかがえます。
今回の見立てについて、QOが実施した検証調査*⁶では、学生やZ世代からの評価が比較的高く、共感度は学生で59.4%、Z世代で53.0%でした。自由回答においても、「このままで大丈夫かという漠然とした不安と、かといって昭和的な厳しさは嫌だという狭間にいる」など、共感の声がみられました。


■ QOプランナーのコメント
今回担当した斉藤氏、寺西氏、木村氏、西川氏は、今回の生活者動向や裏側のインサイト、見立てについて以下のようにコメントしました。
「社会のホワイト化が進み、理不尽な厳しさや過度なプレッシャーは見直されてきました。一方で、「本気を出さなくても成立する毎日」の中で、どこか物足りなさや手応えのなさを感じる生活者も増えているように見受けられます。例えば、仕事に本気で向き合いたいという声に一定の共感が集まったり、将来の不安に対して明確な道筋を示すキャリア支援サービスへの関心が高まったりと、自分なりに本気を出せる場を求める動きもうかがえます。
生活者は、かつてのような理不尽なブラックさを望んでいるわけではありません。しかし、ぬるま湯のままでもいたくない。自ら納得できる範囲の「少しの無理」をさせてくれるような、 “プチブラック”な選択肢を求めることで、充実感や達成感を得たいと考えているのではないでしょうか。」
*1 出典:アデコ株式会社、LHH『ゆるブラック企業とは? 特徴・問題点・改善する方法を紹介』
*2 出典: 株式会社 プレジデント社、PRESIDENT Online、2023年『会社は好きだけど、このままここにいるとヤバい…居心地のいい「ゆるい職場」からどんどん若者が消える理由』
中央公論新社、2022年『ゆるい職場―若者の不安の知られざる理由』(古屋星斗(著))
*3 出典:株式会社ツムラ、2024年『働くことと不調に関する意識調査』
*4 出典:株式会社 PR TIMES、PR TIMES、2025年『Code Chrysalis Japan 株式会社|コードクリサリス、ソフトウェア内製化のための集中トレーニングコース CC Bootcamp を提供開始』
ビズメイツ株式会社、2025年『英語に“浸かる”2日間─日本語禁止の対面・没入型プログラムを年末開催』
*5 出典:株式会社 PR TIMES、PR TIMES、2025年『SHE株式会社|日本最大級の女性向けキャリアスクールSHE、累計会員数20万人突破!』
*6 検証調査概要
調査対象者:全国の15-69歳 ※中学生以下は除く
回答者数 :1,236人
割付方法 :性年代別に均等回収
調査方法 :インターネットリサーチ
調査期間 :2026年2月18日(水)~19日(木)
調査企画 :QO株式会社
調査委託先:株式会社マクロミル