生活者見立て通信は、主にマーケティングの戦略立案に関わる方々を対象に、世の中の流行や最新トレンドに関する複数の事例から背景にある太い潮流やインサイト、見立てについて独自の視点でまとめた定期レポートです。
■着目した生活者動向
①生きづらさ・息苦しさの増大
robamimiの調査によると、「昔に比べて生きにくい世の中になったと思うか」という質問に対して、「とても/ややそう思う(TOP2)」と回答した人は72.4%にのぼりました。背景には、経済面の不安や価値観の多様化、ネット社会による疲労感、コンプライアンスの強化による息苦しさなどが挙げられており、生活者を取り巻く環境は複雑化しています。*¹
②「サボり」を前向きに捉え直す動き
こうした中、「サボる」という行為をポジティブに再解釈する動きも広がっています。「SABO LABO(サボラボ)研究所」*²や「OSABORI STUDIO」*³といった取り組みでは、「サボり」をネガティブな行為としてではなく、働き方や日常の中に余白やゆとりを生む行為として捉え直す取り組みが進んでいます。
また、いこーよ総研の調査では、「おでかけや旅行で子どもが学校を休むこと」に対して約70%が賛成(TOP2)と回答しており、従来の規範にとらわれない柔軟な判断が受け入れられつつある様子がうかがえます。*⁴
■QOプランナーの見立て:良い子ちゃんモード一次停止。大胆不敵にサボりを解禁して、人生にちょっとしたスパイスを。
QOプランナーは、これらの生活者動向を踏まえ、裏側にあるインサイトを読み取り、下記のように見立てています。

これは、目に見えない息苦しさが続く現代において、生活者が「サボり」を堂々と解禁することで、真面目すぎる自分からの解放や日常に小さな刺激をもたらす時間を求めているという見立てです。
実際に、「大人のキッザニア」*⁵のように社会的な役割から一時的に離れる体験や、「ぼーっとする大会」*⁶のように“何もしない時間”そのものに価値が置かれ、日常のタスクや思考を一時的に手放せるイベントが登場するなど、あえて役割や日々の過ごし方の前提から外れることに価値を見出す動きもみられます。
今回の見立てについて、QOが実施した検証調査*⁷では、10-20代の若者に加えて30代からの評価も高く、共感度は10代で75.8%、20代で67.9%、30代で66.5%でした。自由回答においても、「昨今の情報過多に伴うストレス社会では適度な解放感を得ないと潰れてしまう」など、共感の声がみられました。


■ QOプランナーのコメント
今回担当した山本氏、待井氏、手島氏は、今回の生活者動向や裏側のインサイト、見立てについて以下のようにコメントしました。
『コンプライアンス意識の高まりやSNSの普及などにより、生活者は日常のあらゆる場面で“正しくあろうとする状態”に置かれているように見受けられます。こうした中で、経済的不安や価値観の多様化、ネット社会による疲れなども重なり、「生きづらさ」を感じる人が増えていることがうかがえます。
一方で、「サボり」をポジティブに再解釈する取り組みや、日常から一時的に離れる体験への関心の高まりなどから、真面目に頑張り続けることだけではない、新しい選択肢を受け入れる動きもみられます。
生活者は、これまでのように常に正しく振る舞い続けることに対して、どこか息苦しさを感じているのではないでしょうか。だからこそ、あえて「サボり」という選択を通じて、真面目すぎる自分から解放され、日常にちょっとした刺激や余白を取り戻したい——そうしたインサイトの表れだと考えられます。』
*1 出典:株式会社エクスクリエ、robamimi、2022年『経済、監視社会、コロナ…約4人に3人が思う「昔に比べて生きづらくなった」「そう思わない」派の意見に見る処世術とは?』
*2 出典:モリリン株式会社、2023年『『サボる』をデザインする【SABO LABO(サボラボ)研究所】を設立。』
*3 出典:株式会社リコー、2023年『リコー、新企業CMに俳優の森川葵さんを起用
*4 出典:アクトインディ株式会社、いこーよ総研、2025年『ラーケーション調査「おでかけや旅行に行くために学校を休ませてもいい」賛成派が約7割、反対派も「ラーケーションの日」なら参加したい「/いこーよ総研ユーザーアンケート』
*5 出典:KCJ GROUP 株式会社、2026年『キッザニア東京「大人のキッザニア」』
*6 出典:株式会社VIS「ぼーっとする大会」
*7 検証調査概要
調査対象者:全国の15-69歳 ※中学生以下は除く
回答者数 :1,236人
割付方法 :性年代別に均等回収
調査方法 :インターネットリサーチ
調査期間 :2026年4月15日(水)~16日(木)
調査企画 :QO株式会社
調査委託先:株式会社マクロミル